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Question1 TPM活動の推進は、企業の利益向上に寄与しますか?

2026.09.29

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TPMは工場に潜むロスを削減する活動

 TPM(Total Productive Maintenance)活動というと、設備の管理や保全活動を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、TPMの本質は設備を守ることそのものではありません。工場には、故障や不良だけでなく、段取り・調整、チョコ停、速度低下、立上り、不良など、生産活動を妨げるさまざまな事象があります。TPMはこれらをロスと呼んでいますが、ロスは、1つひとつを見ると小さく見えるかもしれません。
 しかし、日々積み重なることで、生産能力の低下や原価の上昇を引き起こし、企業の利益を圧迫します。TPM活動では、まず現場に存在するロスを定量的に把握し、どこにどの程度の損失が発生しているのかを明らかにします。そして、ロスを継続的に削減することで、生産システム全体の効率向上を図ります。

ロス削減による製造原価低減とキャッシュフロー向上

 ロスの削減は、下記のように企業経営にさまざまな効果をもたらします。

  • ・故障ロスの削減による修理費や保全費の低減
  • ・不良ロスの削減による材料費や仕損費の低減
  • ・段取り時間短縮による生産能力の向上
  • ・生産リードタイム短縮による在庫の削減 など

 これらの結果として、製造原価は低減します。また、在庫の圧縮や生産期間の短縮によって資金回収が早まり、キャッシュフローも改善します。図表-1のようにロスの削減による安定した生産体制の確立は製造原価の低減につながり、納期対応力の向上や受注機会の損失防止、売上機会の拡大といった効果が生まれ、企業収益の向上に貢献します。

図表-1 製造原価とロスの関係(例)

設備総合効率—ロス削減の成果を示す指標

 TPM活動では、生産設備に起因するロス削減の成果を評価する代表的な指標として、設備総合効率(OEE:Overall Equipment Effectiveness)を用います。
 設備総合効率は、「時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率」によって表される指標です。故障やチョコ停が減れば時間稼働率が向上し、速度低下が改善されれば性能稼働率が向上します。また、不良が減れば良品率も向上します。つまり、設備総合効率はロス削減の結果として向上する指標であり、TPM活動の成果を総合的に示す1つと言えます。

設備総合効率を向上させる

 TPM活動では、さまざまな活動を通じてロス削減を進めます。

  • ・個別改善:ロスの発生状況や関連性を把握した後、優先順位と担当を明確にし、ロスの改善を実施します。その後に成果を数値で確認し、再発防止や他設備への展開につなげます
  • ・自主保全:オペレーターが清掃・給油・点検・増締めを行い、設備の異常を早期に発見します。日常保全を通じて、強制劣化や突発停止を防ぎ、設備の維持・管理に努めます
  • ・計画保全:故障履歴や劣化傾向に基づき、予防保全・予知保全・改良保全を計画的に進めます。故障してから修理するのではなく、故障や性能低下を未然に防ぐこと(予防保全)が基本となります

 これらが連携することで、故障停止、性能低下、品質不良を減少させ、設備総合効率を向上させます。

TPM活動がもたらす成果

 TPM活動によって優れた成果をあげた事業場を表彰するTPM優秀賞の受賞事業場では、図表-2のとおり、TPM活動の導入時点と比べて、設備総合効率*1が平均で約23%向上し、故障件数は約62%、クレーム件数は約52%、生産リードタイムは約34%減少しています。 
 このように、TPM活動の成果は「設備が故障しにくくなった」ということだけではなく、故障や不良の減少、生産リードタイムの短縮、納期遵守率の向上などを通じて、売上機会の拡大や製造原価の低減につながります。
 また、設備が安定して稼働すれば、急なトラブル対応や不良品の再加工や手直しに費やしていた時間を、本来の生産活動や改善活動に振り向けることもできます。つまり、TPM活動は現場の効率を高めるだけでなく、限られた人・設備・時間を有効に活用する活動でもあります。

 図表-2 TPMによる成果指標*2の変化

まとめ

 TPM活動の目的は設備を守ることだけではありません。工場に潜むロスを顕在化し、継続的に削減することで、製造原価の低減、キャッシュフローの向上、売上機会の拡大を実現し、企業の利益向上につなげることにあります。そして、設備総合効率は、その成果を評価するための重要な指標と言えます。

 次回は「TPMは、どこから手をつければよいですか?」についてご紹介します。

*本記事へのお問合せは、JIPM・調査研究チームまで(rd@jipm.or.jp) 

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